残念ながら、チェックが必要な“ずさん”で“理不尽”な行政の数々
長谷川俊英14年の市会議員活動  (8ページ)
俗に「お役所仕事」という言葉がある。まじめに仕事をしている公務員の方々には申し訳ないが、「やっぱりそうやないか」と言わざるをえない、ずさんな行政実態をいくつも指摘しました。そのほとんどは、月1回、事務所で催していた市民相談に持ち込まれた案件でした。以下に、その典型的な事例を紹介します。
◆「自費診療」でぼったくり、その上“時代遅れ”だった市立病院の歯科治療
市立堺病院の歯科治療で、健康保険の適用を受けない高額な「自費診療」を勧められた…との相談があった。「公立病院が保険外診療を取り扱うの?」と疑問を抱き、府内にある市立病院の実態を調べてみた。「実施しない」と答えた大阪市のほか、「患者の希望によって行う」という池田市と豊中市が2か月1度程度、岸和田市が全治療中の10%、東大阪市が23%ということだった。念のため日本歯科医師会のデータを探すと自費診療率は20〜30%という数字も読みとれた。これに比べて堺病院は42%。民間医療機関と比べて2倍にもなっている。
それに、病院側に単価表の提出を求め、知人の歯科医に見てもらったら、民間の通常価格の2倍〜3倍という高額料金もあると言う。これでは、まったくの“ぼったくり”だ。
調査を進めていると、「非常勤の歯科医師が自分の経営する診療所に患者を誘導している」との証言も得た。また、この医師の治療方法が「時代遅れ」だという噂だったので、阪大の歯学部に問い合わせてみた。応対した専任講師の答えは、「有害だとの説もあって、いまどきそんな治療はしないはず…」とのことだった。具体的なデータと専門家の証言を突きつけての議会での追及に、市当局はあっさりカブトを脱ぎ、「改める」と約束せざるを得なかった。 (1982.6)
◆登記ミス…固定資産税8年間で100万円、みすみす“取りはぐれ”
「登記簿上の面積は14uだが、実測したら535uあった」…こんな話を耳にして、固定資産税の課税はどうなっていたかを調べてみた。課税は登記簿に基づいて行われていて、この土地が分筆されて以来8年間、試算する約100万円の取りはぐれがあった。これだけの面積の開きは、現地を見れば誰にでも分かる。納税者に不公平感を抱かせないため、注意深い行政が必要だと注文を付けた。 (1988.7)
◆長期間放置…計画倒れで市有地のずさん管理
堺市が保有する土地の利用状況を調べてみたら、中心部にある高額な二つの土地が、当初目的に沿った有効利用をされずに長期間放置されたままになっていた。一つは、54年前に卸売市場の統合用地として確保した977uで、統合が実現しないまま近くに開業した2つの卸売市場の駐車場になっていた。もう一つは、17年前に自転車博物館用地として府から譲り受けた245uで、運営にあたる法人の設立認可が下りず、資材置き場に流用されていた。 (1989.12)
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◆なんのための駐輪場!?…自転車バイク泥が続発(およそ1年に369台)
都市圏の自治体のどこもが、駅前に溢れる自転車に悩まされている。堺市でも駐輪場を設置して対策を講じているが、ある駅前の駐輪場で2台続けて盗難にあったという高校生の相談を受けた。調べてみると、計14駅の周辺に 48 か所ある駐輪場で、13か月間に369台の自転車やミニバイクが盗まれていた。管理人がいなくなる夜間も出入り自由で、市側も盗難責任を負わないのなら、「お金を払ってまで置きにくる市民はいなくなる」と警告した。 (1992.6)
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