●依然、疑問が残る「堺市の受益」→府との対等協議を求める
続いて質したのは、堺市や大阪府が総務省に照会した法令上の疑義。総務省の回答は、「受益の限度内であれば地財法違反とまでは言えない」と消極的です。他方、府との合意書で定められた「定員20名」について、市当局は「(修徳学院の)全体定員を100名から120名に増員するもので、定員拡大でより安定的に堺市の児童の受入れが可能になる」との見解を示しています。ならば、堺市の受益割合は「単純には120分の20、つまり6分の1ではないか」と主張。新寮建設費の全部負担には疑問が残ることを指摘しました。
この点については、予算委員会の付帯決議も「法令やこれまでの経緯に照らしながら大阪府と十分に協議し、適正かつ公正なものとなるよう努めること」を求めています。全会一致の付帯決議を尊重して、府との対等・妥当な協議を行うことを求めました。
●児童虐待・発達障害などの増加で、急がれる施設整備
とは言え、児童虐待や発達障害などの増加を考えれば施設整備を遅らせることはできません。従って、「府委託には反対せず、今回提案の負担金(既設建物撤去)予算も容認する」と表明。また、厚労省においても施設改革が検討されている折、将来の可能性に備えて、本市が構築した「基本計画」やせっかく取得した「用地」は大きな財産として残すべきだと主張しました。
今日の健康福祉委員会ではまず、11年前(2009年12月)の健福委員会での維新議員と竹山市長の議論を紹介しました。児童自立支援施設の独自整備を求める維新議員に対して、竹山市長は「非常に専門性が高く、府と連携すべきだ。別棟でもいいから(修徳学院内に)一緒に利用させてもらうのがいちばん効率的」と答えています。
そこで、「結局、このときの竹山答弁に戻るのか?」と永藤市長に質したら、「当時の前市長の意向は把握していない」と答えました。散々、政治的思惑に翻弄されてきたこの問題が、またもや永藤市長の政治判断で処理されたことが歴然としています。討論の際、『論語』の為政編に記された「温故而知新」=「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る」という孔子の言葉をかみしめ、今後の市政運営に当たるべきだと苦言を呈しました。