《2020.8.31》
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※8月30日以前の日記は、前ページに掲載

8月31日(月)27.0℃~36.0℃。猛暑日ですが、夕方に雷鳴と強雨。夕立は助かります。

今日の大綱質疑で議論した「PFI」というのは「Private Finance Initiative」の略。民間の資金と経営能力・技術力を活用して、公共施設などの設計・建設・改修・更新や維持管理・運営を行う公共事業の手法です。
堺市では、これまでに4つの事業(右図)でこの手法を採用しているのですが、うち2事業は応募提案した事業者がたった1者。これでは競争原理が働きません。
また、多額の公金を委ねる事業ですから実行状況を監視する「モニタリング」という制度があって、堺市が2003年に策定した「PFI等ガイドライン」では、「透明性確保のため、監視結果を公表する」と定めていました。
ところが、2006年に契約した「資源循環型廃棄物処理施設整備事業」(クリーンセンター臨海工場)に関するモニタリングは、まったく公表されていません。私の指摘に環境局長は、「事業者との契約書に公表が書かれていない。その原因は18年前のことで分からない。今後の公表方針は、PFIマニュアル見直しに沿って検討する」と答弁。
実は、この事業は当初2者が応募姿勢を示していたのに、1者が辞退。444億円余りの契約額は市が設定した上限額の99.8%で、住民監査請求も起きています。

⚫「透明性の確保」は《PFI5原則》の一つ
これらの事態を振り返り、本市におけるPFI事業の総括を求めたところ、担当の政策企画部を所管する市長公室長が答弁。今後の方針として、「事業検討の初期段階から、複数提案者による提案を促すよう努める」、「モニタリング結果の公表については、事業者の権利などを踏まえて公表のあり方を検討し、マニュアルの見直しを行う」とのことです。
ところで、PFIという手法は、もともと英国のサッチャー政権が考案して実施。それを日本に導入したものです。しかし、本家の英国では、もうこの手法は採用されていないとのこと。日本でもいくつかの破綻・失敗例があって、『PFI神話の崩壊』という本に紹介されています。
なお、日本政府が閣議決定(2015.12.18)した基本方針には、「公共性・民間経営資金活用・効率性・公平性・透明性」という5つの原則が示されています。今日は「透明性」という視点から議論しましたが、他にもチェックすべき課題があります。最後に市長の見解を問いました。
永藤市長は、「長谷川議員の指摘は非常に重要だ。堺市として透明化を図るためのルールを設けながら、それが実際に履行されていないのは大問題だと考えている。今後、民間に委ねる場合、透明性がなければ民間の参入を促すことはできない。堺市が行う事業に民間企業が次々と手を挙げてもらえるよう、透明性を確保しながら事業を実施していきたい」と答えました。
(※もう一つの議論テーマ「原山公園再整備」は、明日の日記で報告します)

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